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8. 物納

物納とは

相続税は、他の国税と違って、納付すべき相続税額を納期限まで又は納付すべき日に延納によっても金銭で納付することが困難な理由がある場合には、申請により、その納付を困難とする金額を限度として、一定の相続財産で納付すること(=物納)が認められています。

なお、相続税に附帯する加算税、利子税、延滞税及び連帯納付義務により納付すべき税額等は、物納で対応することはできません。

物納のメリット・問題点

メリット

①譲渡所得税がかからない(ただし、超過物納部分が生じたため、過誤納金として金銭で還付された場合には、還付された金額が譲渡所得税の対象になる。)

②市場で売却が難しい不動産を路線価評価で物納できる(市場価格が路線価よりも低くなるような不整形、崖地などでは効果的)

③納税額を物納の評価額が超過する場合(税金を払いすぎる場合)は、税金が還付されるため、不利益は生じない。

問題点

  • 物納が許可されるまで利息が付く上、物納が却下された場合でも延滞期間中の利子税(利息)が発生する
  • 物納申請の手続きが煩雑で専門家に依頼しないと難しい
  • 不動産評価は、相続税評価額(路線価)なので、実勢価格よりも低い納税額でしか充てられない
  • 境界確定・測量手続きなど通常の不動産売却をする場合にかかる諸経費も発生
  • 物納ができない不動産として却下された場合でも、境界確定・測量手続き等に要した費用は自己負担しなければならない。

物納に充てることのできる財産の種類及び順位

物納に充てることのできる財産は、納付すべき相続税の課税価格の基礎となった相続財産のうち、下記に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあるものに限ります。なお、「相続時精算課税による贈与」によって取得した財産や「納税猶予を適用している非上場株式」は、物納できません。

【図表】

順 位 物納に充てることのできる財産の種類
第1順位 ① 国債、地方債、不動産、船舶
② 不動産のうち物納劣後財産(後記参照)に該当するもの
第2順位 ③ 社債、株式(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含み、短期社債等を除く)、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
④ 株式(特別の法律により法人の発行する出資証券を含む)のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位 ⑤ 動産

物納の要件

次に掲げるすべての要件を満たしている場合に、物納の許可を受けることができます。

  1. 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
  2. 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあること。
  3. 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。
  4. 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、「物納申請書」に「物納手続関係書類」を添付して税務署長に提出すること。

管理処分不適格財産と物納劣後財産

管理処分不適格財産

次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となり、物納することができません。

(あ)不動産

  1. 担保権が設定されていること、その他これに準ずる事情がある不動産
  2. 権利の帰属について争いがある不動産
  3. 境界が明らかでない土地
  4. 隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産
  5. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で民法第210条の規定による通行権の内容が明確でないもの
  6. 他の不動産と社会通念上一体として利用されている不動産もしくは利用されるべき不動産または二以上の者の共有に属する不動産
  7. 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
  8. 耐用年数を経過している建物。(通常の使用ができるものを除く)
  9. 敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することになる不動産
  10. その管理または処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産
  11. 公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産
  12. 引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産

(い)株式

  1. 譲渡に関して金融商品取引法その他の法令の規定により一定の手続が定められている株式で、その手続がとられていないもの
  2. 譲渡制限株式
  3. 質権その他の担保権の目的となっている株式
  4. 権利の帰属について争いがある株式
  5. 共有に属する株式(共有者全員がその株式について物納の許可を申請する場合を除く。)

物納劣後財産

次に掲げるような財産は、ほかに物納に充てるべき適当な財産がない場合に限り物納に充てることができます。

  1. 地上権、永小作権、耕作を目的とする賃借権、地上権、入会権が設定されている土地
  2. 法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地
  3. 土地区画整理法による土地区画整理事業等の施行にかかる土地につき仮換地又は一時利用の指定がされていない土地(当該指定区域において使用または収益をすることができない土地を含む)
  4. 現に納税義務者の居住の用または事業の用に供されている建物およびその敷地(当該物納義務者が当該建物およびその敷地について物納の許可を申請する場合を除く。)
  5. 劇場、工場、浴場その他の維持または管理に特殊技能を要する建物およびこれらの敷地
  6. 建築基準法第43条第1項に規定する道路に2メートル以上接していない土地
  7. 都市計画法の規定による都道府県知事の許可を受けなければならない開発行為をする場合において、当該開発行為が開発許可の基準に適合しないときにおける当該開発行為に係る土地
  8. 都市計画法に規定する市街化区域以外の区域にある土地(宅地として造成できるものを除く)
  9. 農業振興区域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められた区域内の土地
  10. 森林法の規定により保安林として指定された区域内の土地
  11. 法令の規定により建物の建築をすることができな土地(建物の建築をすることができる面積が著しく狭くなる土地を含む)
  12. 過去に生じた事件または事故その他の事情により、正常な取引が行われないおそれがある不動産およびこれに隣接する不動産
  13. 事業の休止(一時的な休止を除きます。)をしている法人に係る株式

物納の収納価格

物納財産を国が収納するときの価額は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価格(相続税評価額)によります。

なお、小規模宅地の特例、特定計画山林の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合については、特例適用後(減額後)の価額が収納価額になります。

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